以下のロールプレイ形式で、実際のプロジェクトを想定し、テスト計画のスタートからゴールまで具体的な見積もり方法を解説します。
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【ロールプレイ設定】 • あなた:テストマネージャー • 私:経験豊富な品質保証コンサルタント
システムの概要: • ECサイトの決済機能の新規開発。 • 納期は1ヶ月後。 • 開発チームは5名(フロント2名、バックエンド3名)。
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Step1. テスト計画の立ち上げ
【あなた】
「ECサイトの決済機能のテスト計画を立てることになりました。見積もり方法を教えてください。」
【私(品質保証コンサルタント)】
「まず、テスト計画を立てるには次の順序で進めましょう。」 1. テスト対象範囲の決定 2. テストの種類とレベルの明確化 3. テストケース数の見積もり 4. 工数算出 5. 人員配置の決定 6. テスト計画の文書化
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Step2. テスト対象範囲の決定
【あなた】
「まず何から始めればいいでしょうか?」
【私】
「新規に開発される決済機能の中でも、特にリスクが高い箇所や重要度が高い機能をリストアップします。 例えば、『クレジットカード決済』『PayPayなどQR決済』『エラー処理』などです。 ここで対象範囲を明確にします。」
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Step3. テストの種類とレベルの明確化
【あなた】
「次は何をすればよいでしょう?」
【私】
「テストレベルとタイプを明確にしましょう。例えば以下のように決定します。」 • 単体テスト:開発者が担当。 • 結合テスト:バックエンドとフロントエンドの接続を確認。 • システムテスト:ユーザー目線で全体的な動作を確認(機能テスト、負荷テスト、セキュリティテストを含む)。
「これにより、テストタイプごとの人員や工数を見積もりやすくなります。」
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Step4. テストケース数の見積もり
【あなた】
「実際のテストケース数はどのように算出しますか?」
【私】
「大まかな目安を考えます。 例えば: • クレジットカード決済機能:正常系5件+異常系10件 • QRコード決済機能:正常系5件+異常系5件 • エラー処理:異常系10件
合計で約35件と見積もります。」
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Step5. 工数算出
【あなた】
「次に工数の算出はどうやりますか?」
【私】
「まず、テストケースごとに必要な平均時間を見積もります。 例えば、1テストケースあたり: • テスト準備:10分 • 実施と結果記録:20分 • 結果確認・報告:10分
合計で1テストケース40分とします。
35件×40分=1400分(約24時間)と算出できます。」
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Step6. 人員配置の決定
【あなた】
「実際に何人ぐらい必要になるでしょう?」
【私】
「ここでスケジュールが関わります。 納期は1ヶ月(約20営業日)ですが、テスト期間は一般的に納期の後半1週間~2週間程度です。 仮にテスト期間を1週間(5営業日)とすると、1人が1日にテストに費やせる時間を5時間とします。
1人の1日あたりのテスト可能時間 = 5時間(300分) 全工数 = 1400分 ÷ 300分 ≒ 4.6日(約5日間で1人で完了可能)
これにバッファ(予備日)20%を追加すると、約6日必要と考えられます。
結論として、1名がフルタイムで対応できれば間に合いますが、レビューや予備日を考慮すると、1〜2名が適切でしょう。」
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Step7. テスト計画の文書化
【あなた】
「最後に文書化するポイントを教えてください。」
【私】
「次の内容をテスト計画書に記載します。」
- クレジットカード決済
- QRコード決済(PayPay等)
- エラー処理
- 単体テスト(開発者が実施)
- 結合テスト
- システムテスト(機能テスト・負荷テスト・セキュリティテスト含む)
機能 | テストケース数 | 1ケースあたりの工数 | 合計工数 |
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クレジットカード決済 | 15件 | 40分 | 600分 |
QRコード決済 | 10件 | 40分 | 400分 |
エラー処理 | 10件 | 40分 | 400分 |
合計 | 35件 | - | 1400分(約24時間) |
- 期間:5営業日
- 必要人員:1〜2名
- テスト環境トラブル → 予備日設定
- 人員不足 → サブ要員の事前確保
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まとめ(ゴール)
【あなた】
「具体的でわかりやすかったです。この流れでテスト計画を進めます!」
【私】
「よかったです。このように順序立てて進めると、根拠のあるテスト計画が立案できます。」
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以上が、テスト計画の具体的なスタートからゴールまでのプロセスおよび見積もり方法です。