中学生にもわかりやすいように、学校生活を例にして「WindowsのActive Directory(AD)」という仕組みをステップバイステップで説明します。イメージとしては「学校全体を管理するための生徒名簿&ルール管理システム」と考えてください。
- Active Directoryって何?
学校の例え: • Active Directory(AD) は「学校の仕組み全体を管理するためのシステム」です。 • たとえば学校だと、先生や生徒の情報をまとめて管理したり、「どの教室に入れるか」「どのロッカーを使えるか」などのルールを決めておく必要がありますよね。 • ADは、コンピュータの世界で「ユーザー(先生や生徒のような立場)」「コンピュータ(教室・部室・ロッカーなどのリソース)」「その人が何をできるか」をまとめて管理してくれる仕組みです。
- “ドメインコントローラー” は学校の“職員室” or “校長室”
学校の例え: • 学校には「職員室(あるいは校長室)」があって、そこで全校生徒の名簿やクラス分けの情報を管理していますよね。 • ドメインコントローラー(DC) は、ADの中でこの「職員室/校長室」の役割をするコンピュータです。 • 生徒・先生(ユーザー)の情報やパスワードなど、みんなの情報がここに集まります。 • 「この生徒は本当に学校の生徒か?」を確認する(認証)こともします。 • 1台でも学校運営はできますが、安心のために予備の職員室(セカンダリDC)を用意する場合もあります。
- “ドメイン” は学校そのもの
学校の例え: • 学校全体をまとめて「〇〇中学校」と呼ぶのと同じように、ADではネットワーク全体をまとめて**“ドメイン”**と呼びます。 • みんなが所属するドメイン(学校)に入ることで、学校の施設(パソコン室や図書室など)を使えるようになるイメージです。
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ADを使う前の準備
- サーバー(職員室となる部屋/PC)の準備 • Windows Serverという“特別なコンピュータ”を用意し、そこにADの機能を入れます。
- ドメイン名を決める • 学校名のように、ネットワークの名前を「example.local」などと決めてあげます。
- ネットワークの設定 • 職員室がネットワークの中心になるので、そこに正しい住所(IPアドレス)を割り当てるイメージです。
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インストールから実際に“ドメインコントローラー”にする手順
- 役割と機能の追加 • Windows Serverで「Active Directoryドメインサービス」をインストールします。
- AD DS(Active Directory Domain Services)の設定 • 「このサーバーをドメインコントローラーに昇格します」というボタンを押して、学校のメイン職員室にする作業を行います。
- 新しいフォレスト(学校グループ)の作成 • 初めての導入なら「新しい学校(ドメイン)を作る」イメージで設定していきます。
- DNSサーバーの設定 • 学校の職員室に「どの場所がどこにあるかを教える案内所(DNS)」の役割をもたせることが多いです。
- 再起動して完了 • 再起動すると、ADのドメインコントローラーとして使えるようになります。
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ユーザー(生徒・先生)の登録と管理
- ユーザー作成 • 職員室で「新入生」を受け入れるように、ADでも「新しいユーザー」を作ります。 • 例)「山田太郎」という生徒ユーザー、「山田先生」という先生ユーザーなど。
- パスワードや権限設定 • 先生は職員室に入れるけど生徒は入れない、などのルールをパスワードやグループで決めます。
- グループ分け • 学校でクラスを編成するように、ADでもユーザーをグループ(クラスや部活動など)に分けます。 • 例えば「サッカー部グループ」「吹奏楽部グループ」と作って、部室や活動場所(ファイルサーバー)への権限を管理できます。
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コンピュータ(教室のパソコン)をドメインに参加させる
学校の例え: • 学校に新しい教室ができたら、職員室に「〇〇教室をつくりました」と届け出る必要がありますよね。 • Windowsでいう「ドメイン参加」は、教室(パソコン)が“この学校(ドメイン)”の一部になりますと登録する作業です。 1. パソコンの名前を決めて(例:CLASS1-PC01など)、ドメインに参加すると「学校の生徒や先生がログインできるようになる」イメージです。
- 組織単位(OU)とグループポリシー(GPO)でルール管理
OU(Organizational Unit) • 組織単位(OU) は、ADの中でクラス・学年・部署ごとにまとめる“フォルダ”みたいなもの。 • 「1年生」「2年生」「3年生」や「先生」「事務職員」などに分けると、あとでルールを適用しやすくなります。
グループポリシー(GPO) • グループポリシーは「学校の校則やクラスのルールを一括で設定する仕組み」です。 • 例1:生徒はパソコンに勝手にソフトを入れちゃダメ(インストール禁止) • 例2:先生は成績データにアクセスできるけど、生徒はできない • ADでは、このようなルールをまとめて設定して「特定のOU」にだけ適用できるので、とても便利です。
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毎日の運用:学校の“あたりまえの活動”
- ユーザーの追加・削除(入学・卒業・転校) • 新入生が来たら「ユーザー作成」、卒業や退職があったら「ユーザー削除or無効化」。
- グループや権限の見直し • 部活動が変わったら「グループの所属」を変更する。
- ルール(グループポリシー)の更新 • 校則変更があれば、ADでポリシーを変更して全員のパソコン設定を更新できる。
- ログのチェック・セキュリティ強化 • 職員室の監視カメラや出入りチェックのように、ADでもイベントログを見て怪しい動きがないか確認します。
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まとめ & 次のステップ
Active Directoryは、 • “誰が、どこに、どうやって入れるのか” を一元的に管理するためのシステム • 学校の例でいえば、「職員室(ドメインコントローラー)を中心に全校生徒や教室、ルールを管理」 するイメージ
次にやってみたいこと 1. 仮想マシンで小さな学校(ドメイン)を作ってみる • VirtualBoxやHyper-Vなどを使って、ADを一度インストールしてみましょう。 2. OU・グループポリシーの実験 • クラスや部活を仮想で作って、どんな設定が一括で変えられるか試してみる。 3. トラブルシューティング • 生徒がログインできないときはどう対処する? ポリシーが反映されないときは? など、よくある問題を練習すると現場で役立ちます。
これだけを聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、実際に自分で触ってみると「なるほど、学校みたいに管理してるんだな」と分かりやすくなるはずです。
最初は小さく始めて、「ユーザーを作ってログイン」→「グループポリシーでルールを設定」 を体験してみるのがおすすめです。学校をイメージしながら進めると、Active Directoryの基本的な考え方がぐっとわかりやすくなると思います。