AIコード支援が当たり前になった今、ソフトウェア開発の現場に職人の時代が戻ってきているのかもしれません。例えば、GitHub Copilot のようなAIツールの登場でコードの自動生成・修正が瞬時に可能となり、従来エンジニアの高度なスキルが要求される場面は減りつつあります 。あるエンジニアは「自分は家づくりの親方で、AIが優秀な大工だ」と述べ、クライアント→親方→職人→製作という家造りの流れが、クライアント→プログラマー→AI→製作という形で再現されていると語っています 。果たしてソフトウェアエンジニアは現代の大工と言えるのでしょうか?本稿では、AIとDIY(日曜大工)の類似性に着目し、ソフトウェアエンジニアが現代の大工から学べる5つのポイントを探ってみたいと思います。
大工はノコギリやカンナから電動ドリル・丸ノコまで、多彩な道具を使いこなして精巧なものづくりを行います。近年では電動工具やプレハブ資材の普及で作業効率が飛躍的に向上しましたが、それでも道具の選択と扱い方は職人の腕にかかっています。ソフトウェア開発も同様で、エディタやフレームワーク、そして今やAIまで、多くのツールを駆使して製品を作り上げます。
とはいえAIはあくまでツールです。優秀な電動ノコギリがあっても最後の仕上げは大工の判断に委ねられるように、AIがコードを書いてくれる時代になっても、最終的な方向性を決めるのは開発者自身に他なりません 。AIを鵜呑みにして無思慮に使えば、バグやセキュリティ不安を見逃す危険もあります。しかし逆に、その新しい道具を巧みに操るスキルを身につければ、開発効率は飛躍的に高まります。実際、AIツールを使いこなし限界を理解した上で問題解決に挑む力が重要だと指摘されており、これによりエンジニアは反復作業から解放され創造的な業務に集中できると期待されています 。