セッション「ブロードリスニングの技術」(中山心太・西尾泰和)の内容を踏まえて、さらに議論を発展させたい方のための資料です。講演で解説したパイプライン(意見分割→エンベディング→次元圧縮→クラスタリング→ラベリング・要約)を前提に、「その先にある問い」を6つのテーマに整理しました。各テーマの末尾に、より深く知るための西尾のScrapboxページへのリンクを付けています。
講演では、次元圧縮を「魚拓」や「地図」にたとえました。地図が高緯度で歪むように、意見の散布図も歪みます。ここから一歩進めると、散布図を読むときのリテラシーが見えてきます。
デモで使った手書き数字(MNIST)はUMAPが最も得意とするデータで、きれいに島が分かれます。しかし実際の市民の意見データでは、大部分の意見が分離しない大きな一塊(「泥団子」)になることが多いのです。これは技術の失敗ではなく、世の中の意見はそもそもくっきり分かれていないという発見だと捉えることができます。SNS上で対立して見える「赤と青」は、実は巨大な中間層のふちにある小さなこぶにすぎない——どちらが多数派に見えるかは、境界線の引き方で変わってしまいます。